政令第百七号


朕公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令をここに公布する。

御名 御璽

昭和二十六年四月十六日
内閣総理大臣 吉田茂
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令

内閣は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)の規定に基き、及び同法を実施するため、この政令を制定する。

(公共土木施設)
第一條 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(以下「法」という。)第三條に規定する政令で定める公共土木施設は左の各号に掲げるものについて、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 河川 河川法(明治二十九年法律第七十一号)第一條に規定する河川、同法第五條の規定によつて同法が準用される水流、水面若しくは河川若しくはその他の河川又はこれらのものの維持管理上必要な堤防、護岸、水制、床止その他の施設若しくは沿岸を保全するために防護することを必要とする河岸
二 海岸 国土を保全するために防護することを必要とする海岸又はこれに設置する堤防、護岸、突堤その他岸を防護するための施設
三 砂防設備 砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一條に規定する砂防設備又は同法第三條の規定によつて同法が準用される砂防のための施設
四 林地荒廃防止施設 山林砂防施設(立木を徐く。)又は海岸砂防施設(防潮堤を含み、立木を除く。)
五 道路 道路法(大正八年法律第五十八号)第一條に規定する道路又は道路を接続する橋りよう若しくは渡船場、道路に附属する溝、支壁若しくはさくその他同法第二條に規定する附属物で主務大臣の指定するもの
六 港湾 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二條第五項に規定する水域施設、外かく施設、けい留施設又は港湾の利用及び管理上重要な臨港施設
七 漁港 漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)第三條に規定する基本施設又は漁港
の利用及び管理上重要な輸送施設

(災害復旧事業費の負担所属)
第二條 法第四條又は法第五條の規定による災害復旧事業費に対する国又は地方公共団体(港湾法に基く港務局を含む。以下同じ。)の負担の割合は、災害の発生後その事業費を負担すべき者に異動を生じた場合においても、当該復旧事業については変更しないものとする。

(災害復旧工事の施行中又は着手前に災害が生じた場合の措置)
第三條 法第七條の規定によつて事業費が決定された災害復旧事業に係る施設について、その工事の施行中又は着手前において、更に法の適用を受ける災害が生じた場合において、その災害が前に生じた災害と発生の年を同じくするときは未施行又は未着手の工事は、新たに生じた災害による災害復旧事業にあわせて一の災害復旧事業として施行するものとする。

2 前項の場合において、新たに生じた災害が前の災害と発生の年を異にするときは新たに生じた災害の災害復旧事業費に対する法第四條又は法第五條の規定による国又は地方公共団体の費用の負担の割合は、未施行又は未着手の工事の事業費に相当する額を当該災害復旧事業費から控除して算定するものとする。

(災害復旧事業費の範囲)
第四條 法第三條の規定により国がその費用の一部を負担する災害復旧事業の事業費は、当該災害復旧事業の工事のため直接必要な本工事費、附帯工事費、用地費、補償費、機械器具費及び工事雑費の合計額(以下「工事費」という。)並びに事務費とする。

2 前頃に規定する工事費には、主務大臣が特別の事情があると認める応急工事費、応急工事に使用した材料で復旧工事に使用できるものに要した費用及び仮締切、瀬替その他復旧工事に必要な仮設工事に要する費用を含むものとする。

3 第一項に規定する事務費は、地方公共団体ごとに工事費の総額を左の各号に定める額に区分して逓次に当該各号に定める率を乗じて定める。
一 三億円以下の金額  百分の五
二 三億円をこえ五億円以下の金額  百分の四
三 五億円をこえ十億円以下の金額  百分の三
四 十億円をこえる金額  百分の二

4 第一項に規定する工事費を同項に規定する事務費に流用した場合においては、法第十一條の規定の適用については、負担金を交付の目的に反して使用したものとする。

(災害報告)
第五條 第一條に規定する公共土木施設について災害が生じた場合においては、その公共土木施設が市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五條第二項の市(以下五大市という。)を除く。以下同じ。)町村(市町村の組合及び港湾法第四條第四項第三号に掲げる港湾を管理する港湾局を含む。以下同じ。)又は市町村長(市町村の組合又は港湾法に基く港務局にあつては、当該組合又は港務局の管理着をいう。以下同じ。)の維持管理に属するものにあつては市町村長が都道府県知事に、都道府県若しくは五大市又は都道府県知事若しくは五大市の長の維持管理に属するものにあつては都道府県知事又は五大市の長が主務大臣に、主務省令で定める様式により、遅滞なく、その状況を報告しなければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定によつて市町村長から報告を受け取つたときは、これを取りまとめて、遅滞なく、主務大臣に報告しなけれはならない。

(国庫負担申請)
第六條 地方公共団体の長は、法第七條の規定による災害復旧事業の事業費の決定を受けようとするときは、災害復旧事業の目論見書及び設計書を添附して、その旨を主務大臣に申請しなげれはならない。

2 地方公共団体の長は、前項の規定によつて災害復旧事業費の決定を申請しようとするときは、あらかじめ当該災害復旧事業の設計単価表及び歩掛表を主務大臣に提出して、設計単価及び歩掛について承認を受けなければならない。

3 前二項の規定によつて市町村長が主務大臣に書類を提出しようとする場合においては、都道府県知事を経由しなければならない。

(設計の変更又は事業の廃止)
第七條 国が地方公共団体に対して負担金を交付しようとする場合においては、主務大臣は、当該負担金に係る災害復旧事業の工事の施行に際し第七條の規定による災害復旧事業の事業費の決定の基礎となつた設計(施行箇所を含む。)の変更(軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ主務大臣の承認を受けなければならない旨の條件を附するものとする。

2 地方公共団体の長は、前項の規定に基き附された條件に従い、設計の変更について、主務大臣の承認を受けようとするときは、設計書を添附して、その旨を主務大臣に申請しなけれはならない。

3 地方公共団体の長は国が交付した負担金に係る災害復旧事業を廃止した場合においては、遅滞なく、その旨を主務大臣に報告しなけれはならない。

4 前條第三項の規定は前二項の場合に準用する。この場合において、「前二項」とあるのは、「第七條第二項及び第三項」と読み替えるものとする。

5 主務大臣は、第一項の規定に基く條件に従い申請された設計の変更が水勢若しくは地形の変動その他の事由に基きやむをえないと認める場合又は当該施設に関する改良工事とあわせて施行することが適当であると認める場合においては、承認をしなげれはならない。

(市町村災害復旧事業の監督)
第八條 主務大臣は、法第九條第二項(法第十一條第三項において準用する場合を含む。)の規定によつて、都道府県知事をして市町村に対して法第九條第一項及び法第十一條第一項に揚げる権限(主務大臣が特に指定する災害復旧事業に係るものを除く。)を行わせる。

2 都道府県知事は、前項の規定に基き、災害復旧事業の施行に関し重要な事項について指示をしたとき、又は法第十一條第一項に規定する処分をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に報告しなければならない。

(剰余金の処分)
第九條 地方公共団体は、法第十二條第一項に規定する剰余金を同條第二項の規定によつて、左の各号の一に掲げる災害復旧事業の工事につき使用することができる。

一 災害復旧事業の工事中に生じた災害に因り当該施設に関して必要を生じた工事
二 水勢又は地形の変動に基く設計の変更に因り費用の増加を来たした工事
三 その他やむを得ない事由に因り費用の増加を来たした工事

2 前項の規定によつて地方公共団体が剰余金を使用しようとするときは、当該地方公共団体の長は、剰余金を使用することを必要とする理由書を添附して、主務大臣に認可を申請しなけれはならない。

3 第六條第三項の規定は、前項の規定によつて市町村長が主務大臣の認可を申請する場合に準用する。この場合において、「前二項」とあるの一は、「第九條第二項」と読み替えるものとする。

(残存物件)
第十條 災害復旧事業を完了した場合において、地方公共団体が当該事業の事業費で購入した材料その他の物件が残存するときは、取得価格を基礎としてこれらの物を主務大臣の定める方法によつて金銭に換算した価額は、法第十二條第一項に規定する剰余金に算入するものとする。

(成功認定の申請)
第十一條 国の負担金の交付を受けた地方公共団体が当該負担金に係る災害復旧事業を完了したときは、当該地方公共団体の長は、当該災害復旧事業を完了した日の属する年度経過後、遅濡なく、成功表を添附して、主務大臣にその事業の成功の認定を申請しなければならない。

(都道府県知事の事務)
第十二條 都道府県知事は、法第十三條第一項の規定によつて、国が市町村に対して交付する災害復旧事業費の負担金の額の算定、交付及び還付並びに災害復旧事業の成功認定に関して、左の各号に掲げる事務を行わなければならない。

一 法第四條の規定により災害復旧事業費の国の負担金の率を算定すること。
二 各年度における国庫負担金を交付し、又はその還付を命ずること。
三 災害復旧事業の成功認定に関して検査を行い、主務大臣の承認を得て成功認定をすること。
四 第六條の規定による申請を整理して、遅滞なく、主務大臣に送付すること。
五 第七條又は第九條の規定による申請を審査し、意見を附して主務大臣に送付すること。

2 都道府県知事は、前項第一号から第三号までに掲げる事務を行つたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に報告しなければならない。

3 法第十三條第二項の規定により国が都道府県に交付する経費は、毎年度その年度中に施行する当該都道府県の区域内に存する市町村の災害復旧事業費の総額の百分の二に相当す
る額以内とする。

(書類の整備)
第十三條 災害復旧事業を施行する地方公共団体は、主務省令で定めるところにより必要な帳簿その他の書類を整理しなけれはならない。

(主務省令)
第十四條 この政令において主務省令は、法第十四條に規定する主務大臣が発する命令とする。

(実施規定)
第十五條 この政令に定めるものの外、第六條に規定する目論見書及び設計書、第十一條に規定する成功表の様式その他この政令の施行について必要な事項は、主務省令で定める。

附則

1 この攻令は、公布の日から施行し、昭和二十六年四月一日から適用する。

2 左の勅令及び政令は、廃止する。

 災害土木費国庫補助規程(明治四十四年勅令第百九十九号)
 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律の施行に関する政令(昭和二十五年政令第百四十二号)

3 法附則第四項の規定によつて昭和二十三年一月一日から同年十二月三十一日までに生じた災害に係る災害復旧事業費の総額に乗ずべき補正率は、百分の百四十九とする。

内閣総理大臣    吉田茂
大蔵大臣       池田勇人
農林大臣        広川弘禪
運輸大臣       山崎猛
建設大臣       増田甲子七
経済安定本部総裁 吉田茂